Maid Princess
CHECK !


衝撃!


「さ、里樹さん、なんですかスケッチて!」
「あー、綺麗になってるーお疲れさまでした」
「あ、どもども……じゃなくて!」
 藩王に報告し終わった二人は、きっちりシャワーを浴びた後執務室まで来ていた。天岩戸とか書いてあった気がするが気にしない。


 彼女は何者なのか、なぜスケッチするのか。その説明がまったく無いのである。気になるとかそれ以前にどういった流れなのか知りたいのである。
 あくびをしている執政もその辺は察したようで、あーどこだっけーと机の上の紙の山から一枚抜き取る。そして起きる雪崩。デスヨネーという顔でそれを眺める二人の前で雪崩の中から手がにゅっと出てきた。握られているのは一枚の紙。
「こ、これは……あ、あるメードさんからの『うちのメード長がすごいんですっ!』っていう内容の手紙なんですけどね」
「はぁ」
 まぁ、あの外見ですごくなかったらそりゃ逆にすごいが。
「で、それだけすごいんなら、ちょっと参考にしてメード職に上乗せできないかなーって」
「な、なるほど」
 確かにそこまでは筋が通っている。手紙も確かにそう書いてある。まぁ、それでスケッチもまぁ、外見の参考にするためだと思えばわからなくは無い。しかしだ。
「なんでまたこの城にまで来てるんですか」
「だってさー、すでに確立された手際だけじゃよーわからんところもあるし、他人の屋敷にお邪魔するのもあれだし、何より」
「何より?」
「かわいいなら間近で見たいじゃん!」
 手だけぐっと親指を立てる執政を前に、津軽とホーリーは互いに見合って、頷いた。

 その後、執政の上に重なる紙の量が増えていたのは、いうまでも無い。







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